業務委託契約書作成に関する法律上の委任規定の解説

業務委託に関する法律上の規定

DSCF3057業務委託契約は民法上の委任に該当します。

契約書に定めなくても以下の民法の規定内容は適用されます。

契約書には法律と同じ内容定める場合もありますが、法律とは異なる定め方をすることによって法律が予定する以外の効力を生じさせようとする場合もあります。

法律と異なる定め方をした場合は、多くの場合に契約書で定めた効果のほうが生じますが、一部の場合に契約書の定めの方が無効になる場合もありますのでご注意ください。

受任者の注意義務

第644条  受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。

善管注意義務と言われるものです。

法律に定めはありますが、契約書上でもお互いの注意を引き起こすという意味で同じ内容を規定する場合が多く見られます。

受任者による報告

第645条  受任者は、委任者の請求があるときは、いつでも委任事務の処理の状況を報告し、委任が終了した後は、遅滞なくその経過及び結果を報告しなければならない。

法律上ではこのように規定されていますが、多くの契約書において受任者は定期的に報告をしなければならないという定めをおいているようです。

受任者による受取物の引渡し等

第646条  受任者は、委任事務を処理するに当たって受け取った金銭その他の物を委任者に引き渡さなければならない。その収取した果実についても、同様とする。

2 受任者は、委任者のために自己の名で取得した権利を委任者に移転しなければならない。

多くの場合この条項に関する規定は、契約書では委託業務の内容としてより細かく規定されます。

受任者の金銭の消費についての責任

第647条  受任者は、委任者に引き渡すべき金額又はその利益のために用いるべき金額を自己のために消費したときは、その消費した日以後の利息を支払わなければならない。この場合において、なお損害があるときは、その賠償の責任を負う。

この条項に関することについては、契約書では前条の場合と同じく委託業務の内容としてお金の流れについて細かく規定するのが通常です。

損害についても損害賠償の規定を別に置きます。

受任者の報酬

第648条  受任者は、特約がなければ、委任者に対して報酬を請求することができない。

2  受任者は、報酬を受けるべき場合には、委任事務を履行した後でなければ、これを請求することができない。ただし、期間によって報酬を定めたときは、第六百二十四条第二項の規定を準用する。

3  委任が受任者の責めに帰することができない事由によって履行の中途で終了したときは、受任者は、既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができる。

この規定を見てもわかる通り法律は委任を無報酬で行うことを予定しています。

しかし、多くの業務委託契約においては当然に報酬が発生します。

最重要課題といってもいいでしょう。

そのため報酬については細かく規定がおかれるのが通常となります。

同様に報酬の支払い時期についても細かく規定が置かれます。

契約書を定める場合に忘れがちなのは3項に関する規定で、途中で契約が解除または終了になった場合の報酬をどうするかについて細かく規定しておくとよいでしょう。

受任者による費用の前払請求

第649条  委任事務を処理するについて費用を要するときは、委任者は、受任者の請求により、その前払をしなければならない。

この規定も報酬と同様に費用が発生する場合は契約書において最重要課題として細かく規定されるのが通常です。

受任者による費用等の償還請求等

第650条  受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる費用を支出したときは、委任者に対し、その費用及び支出の日以後におけるその利息の償還を請求することができる。

2  受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる債務を負担したときは、委任者に対し、自己に代わってその弁済をすることを請求することができる。この場合において、その債務が弁済期にないときは、委任者に対し、相当の担保を供させることができる。

3  受任者は、委任事務を処理するため自己に過失なく損害を受けたときは、委任者に対し、その賠償を請求することができる。

契約書においては想定しない費用が発生した場合は両者協議の上負担者を定めるなどといった規定を置く場合があります。

ただそのような漠然とした規定を置いたとしても、受任者に費用が発生すればこの条項を使って請求されることになりますので、費用を支払いたくない委任者は、報酬の中に委託業務に関して発生する費用全てを含むものとするというような内容の条項をおかれるといいと思います。

委任の解除

第651条  委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。

2  当事者の一方が相手方に不利な時期に委任の解除をしたときは、その当事者の一方は、相手方の損害を賠償しなければならない。ただし、やむを得ない事由があったときは、この限りでない。

この条項は無報酬の委任契約を前提としたものであり、一般的な契約においては報酬が発生しますので自由に解除することは認めないという規定おく場合が多いです。

解除する場合は数ヶ月前までに通知しなければならないというような規定をおくのが通常ですが、そのような規定を置いたとしても当事者が合意に至れば解除できるのは当然のことです。

委任の解除の効力

第652条  第620条の規定は、委任について準用する。

第620条  賃貸借の解除をした場合には、その解除は、将来に向かってのみその効力を生ずる。この場合において、当事者の一方に過失があったときは、その者に対する損害賠償の請求を妨げない。

解除の将来効を定めたものです。

契約書に定めなくてもこのような効力が発生するのですが、同じような内容の規定を置く契約書を多く目にします。

また抜けているとこのような規定を置いてほしいと希望される方も多いです。

確認的な意味にはなりますがお互いに誤解のないように置いておかれると良いと思います。

委任の終了事由

第653条  委任は、次に掲げる事由によって終了する。

一  委任者又は受任者の死亡

二  委任者又は受任者が破産手続開始の決定を受けたこと。

三  受任者が後見開始の審判を受けたこと。

この規定に関するものが契約書に定められることはあまりありません。

必要に応じて具体的に定めておかれるといいかと思います。

委任の終了後の処分

第654条  委任が終了した場合において、急迫の事情があるときは、受任者又はその相続人若しくは法定代理人は、委任者又はその相続人若しくは法定代理人が委任事務を処理することができるに至るまで、必要な処分をしなければならない。

この規定も前条と同様に契約書でこれに関する内容が定められる事は少ないかと思います。

必要に応じて具体的に定めておくれるといいかと思います。

委任の終了の対抗要件

第655条  委任の終了事由は、これを相手方に通知したとき、又は相手方がこれを知っていたときでなければ、これをもってその相手方に対抗することができない。

委任の終了原因についてですが、契約書では具体的に定めるのは通常ですので、特別な終了原因がある場合はこの規定が適用される場合は少ないかと思います。

準委任

第656条  この節の規定は、法律行為でない事務の委託について準用する。

専門的な話になってしまいますが、法律行為とは民法学上の概念としては、人が私法上の権利の発生・変更・消滅(法律効果)を望む意思(効果意思)に基づいてする行為であり、その意思表示の求めるとおりの法律効果を生じさせるものをいうとされています。

法律行為の対となる概念としては事実行為ですが、契約を締結する場合は多くの場合に事実行為に関するものになります。

ただ、この規定によって法律行為でない事実行為においても今までの条文がすべて適用されますので特に意識しなくていいかと思います。

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行政書士 さん
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