給与制度・給与規程の基礎知識

はじめに

この投稿では、主に中小企業用に給与制度についての基礎知識をまとめています。

順次追記していく予定です。

給与規程の方式

給与規程には次のような方式があります。

  1. 総合給方式
  2. 年齢給方式
  3. 勤続給方式
  4. 仕事給方式
  5. 職能給方式
  6. 役割給方式
  7. 業績給方式
  8. 歩合給方式

これは特に名称が定まっているものではなく、便宜的に名称を定めたものです。

また、どれか1つに分類されなければならないものではなく、複合的に構成することもできます。

総合給方式

内容

社員1人1人について、仕事の種類・性格、職務遂行能力、勤務成績、年齢、勤続年数などを総合的に判断して給与を決定する仕組みです。

様々な要素や事情を考慮して給与を決定できる点がメリットですが、給与の決め方が不透明となりやすい、能力や成績が十分に反映されないというデメリットがあります。

規定例

(基本給)

第○条 基本給は、次に掲げるものを考慮して定める。

(1)職務の内容

(2)職務の遂行能力

(3)勤務態度

(4)年齢

(5)勤続年数

(6)その他必要事項

(昇給)

第○条 会社は、前年の勤務成績及び勤務態度が良好なものを対象として昇給を行う。ただし、会社の業績が良好でないときはこの限りではない。

2 昇給の額は、次の事項を総合的に評価して決定する。

(1)職務遂行能力の向上の程度

(2)勤務成績

(3)日常の勤務態度

(賞与)

第○条 賞与の額は、次の事項を総合的に評価して決定する。

(1)勤務態度

(2)勤務成績

年齢給方式

内容

年齢に応じて一定の金額を保障する仕組みです。

年齢給だけで決定することはせずに、その他の方式と組み合わせて使われることがほとんどです。

労働者に安心感を与えることができること、比較的柔軟に運用できることがメリットです。

単体で使用すると高齢の途中入社の労働者の場合に適切でなくなるデメリットがあります。

規定例

(年齢給)

第○条 年齢給は、毎年4月1日の年齢を元に別表に定める基準に従い定める。

賞与については年齢給を定めない場合が多いです。

勤続給方式

内容

勤続年数を基準として給与を決定する仕組みです。

労働者に安心感を与えることができること、比較的柔軟に運用できることがメリットです。

単体で使用すると職務内容と給与に齟齬が生じてくる点がデメリットがあります。

規定例

(勤続給)

第○条 勤続給は、毎年4月1日における勤続年数の区分を元に、別表に定める基準に従い定める。

賞与については勤続給を定めない場合が多いです。

仕事給方式

内容

仕事の種類、遂行能力、遂行の困難性、責任の重要性など、仕事の内容を総合的に判断して決定するものです。

総合給と同じで、様々な要素や事情を考慮して給与を決定できる点がメリットですが、給与の決め方が不透明となりやすい、能力や成績が十分に反映されないというデメリットがあります。

規定例

(仕事給)

第○条 仕事給は、次に掲げるものを考慮して定める。

(1)職務の種類

(2)職務の遂行能力

(3)職務遂行の困難性

(4)職務遂行の重要性

(5)その他仕事に関すること

(昇給)

第○条 会社は、前年の勤務成績及び勤務態度が良好なものを対象として昇給を行う。ただし、会社の業績が良好でないときはこの限りではない。

2 仕事給の昇給の額は、次の事項を総合的に評価して決定する。

(1)職務遂行能力の向上の程度

(2)勤務成績

(3)日常の勤務態度

賞与については仕事給で特別な規程をおくことは少ないです。

職能給方式

内容

職務遂行能力のレベルに応じていくつかの資格等級を設け、その資格等級で給与を決定する仕組みです。

給与の決定が合理的である点がメリットですが、勤続期間が伸びると上位に格付けされるものが増え、会社の負担が増えるというデメリットがあります。

規定例

(職能給)

第○条 職能給は、別表に定める基準に従い定める。

昇給・賞与については総合給と類似します。

役割給方式

内容

職務や地位をいくつかの役割に分け、その役割で給与を決定する仕組みです。

労働者に安心感を与えることができることがメリットです。

メリットを生かすためには役割を細分化しなければならず、そうなると運用が面倒になるというデメリットがあります。

規定例

(役割給)

第○条 役割給は、別表に定める役割ごとの基準に従い定める。

賞与について個別の規定は設けないことが多いです。

業績給方式

内容

業務上の目標を明確にし、その目標の達成度で給与を決定する仕組みです。

労働者に勤労意欲を向上させることができることがメリットです。

達成度の判断が難しい点がデメリットです。

規定例

(業績給)

第○条 業績給は、別表に定める基準に従い定める。

2 業績の判断は、前年度の業績について上司が行うものとする。

賞与について個別の規定は設けないことが多いです。

歩合給方式

内容

売上高、契約件数、販売件数など、営業の成績に応じて給与を決定する仕組みです。

労働者に勤労意欲を向上させることができることがメリットです。

社員全員に適用できる基準が定められないと不公平感が生じる点がデメリットです。

規定例

(歩合給)

第○条 歩合給は、次の額を合計したものとする。

(1)契約1件あたり ○円

(2)契約金額の○%

賞与について個別の規定は設けないことが多いです。

どの制度が妥当か

どの制度も単体で用いるとメリットデメリットがあります。

労働者の勤労意欲を上げるためには確定的な制度がいいでしょう。

しかしそれでは会社財産を確保することに支障が出かねません。

複合的に制度設計をされるといいでしょう。

中小企業の給与事情

中小企業の賃金・退職金事情(平成22年度版)

東京都では、従業員が10 人~300 人未満の都内中小企業のみ対象とした賃金についての調査を毎年実施しています。

まとめたものがこれです。

あくまで統計資料ですが、参考になると思います。

給与制度の廃止又は減額

給与制度は定めると労働者の重大な労働条件になります。

これは廃止又は減額することは労働条件の不利益変更になります。

不利益変更は労働者の同意を得れば可能ですが、同意を得られない場合は合理的な理由がなければなりません。

合理性については判例がありますが、経営状態が悪化したことなどは合理的な理由に入ってきません。

その点を注意してできるだけ慎重に給与制度を定めるようにしてください。

合理性についての判例について、詳しくは

就業規則の変更についてのまとめ

の投稿を参考にしてください。(最後の方の「不利益変更」の部分です)

給与規程を作成せずに給与を給付できるか

可能です。

ただし、支払った支払っていない、不公平だなどの争いのもとになるのですぐにでも作成したほうがいいでしょう。

もちろん給与規定ではなく雇用契約時に書面がいるのは当然です。

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社労士 さん
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