退職金制度の基礎知識

はじめに

この投稿では、主に中小企業用に退職金制度についての基礎知識をまとめています。

順次追記していく予定です。

退職金についての問題点

退職金は退職時しか受け取らないことから、中小企業では毎年発生する問題ではないことが多く、資金準備ができていない場合が多い。

退職金は賃金の一部として考えられることが可能であるが、賃金の制度は変更しても退職金の変更しないことが多い。

退職金制度が基本給と連動していることが多いため、賃金水準が上がると退職金も連動してあがってしまう。

そのため、会社に過剰な負担となり資金繰りが厳しくなる。

退職金の性格

3つの説があります。

  • 功労報償説
  • 賃金の後払い説
  • 生活保障説

功労報償説が一般的です。

退職金の支払義務

ありません。

しかし、退職金制度を定めた場合は必ず就業規則に定めなければならず、就業規則に定めた場合は支払うことが義務になります。

退職金のメリット

就労条件の魅力の1つとなる。

税務上の優遇措置がある。

退職金のデメリット

非正規社員にとっては生涯賃金が大幅に違ってくる。

資金準備をしておかなければならない。

給与・賞与と退職金の違い

  • 退職金には健康保険や厚生年金といった社会保険料や労働保険料の対象とならない。

これは退職金を受け取る個人にとっても、会社側にとってもメリットとなります。

  • 退職金は非課税枠が大きい。

 退職金の支給の仕方

一時金で支給する方法と年金で支給する方法があります。

年金で支給する方法は外部機関に委託し支給してもらう必要が出てきますので、規制が厳しく制度運営に費用がかかるため中小企業ではあまり用いられていません。

ここでは省略します。

退職金の支給水準について

退職金については基本的に従わなければならない基準はありませんが、統計的には次のような資料があります。

モデル退職金(調査産業計)

平均的に高めの数字が出ているといわれます。

一定の目安という程度で利用してください。

役員の退職金

役員が自分の退職金を自由に決定できるとなると、会社財産が適性に確保されません。

そのため法律は、役員の退職金(報酬)について株主総会の決議を必要としています。

退職金制度の種類と特徴

中小企業で用いられる退職金制度のタイプとしては次の4種類があるといわれています。

  1. 定額制退職金制度
  2. 基本給連動型退職金制度
  3. 別テーブル方式退職金制度
  4. ポイント制退職金制度

以上の制度には次のような特色があります。

定額制・ポイント制

シンプルで管理がしやすい。

基本給連動型

シンプルではあるが基本給の変化が退職金に影響を及ぼすので把握・事務手続きが煩雑。

制度を組み合わせて独自の制度を作り出す方法も可能です。

定額制退職金制度について

退職時の勤続年数と退職理由に応じて退職金を決定する制度です。

会社の貢献度が加味されませんので、その点について加味したい場合は、役職などについて加算対象にすると良いでしょう。

貢献度については通常の賃金において判断するとしてしまうこともひとつの方法です。

基本給連動退職金制度について

通常は、基本給×勤続年数ごとの支給率×退職理由係数で退職金額を定める制度です。

基本給をどの時点の基本給と考えるのかや、途中入社の場合の不公平、役職貢献度の不算入などが問題となります。

個別に対応した規定を設けることによって対応していくことになります。

別テーブル方式退職金制度について

役職や社内資格、等級ごとに基礎給を定め、基本給の代わりに使用する退職金制度です。

基礎給連動退職金制度ともいえます。

メリットは賃金制度とは完全に独立していることです。

ポイント制退職金について

一定期間において労働者に対してポイントを付与する制度を定め、退職時にそのポイント数に応じて退職金を決定する制度です。

勤続ポイントや貢献ポイントなど様々な指標を定めることができます。

基本的にはこれも賃金制度とは完全に独立することになるでしょう。

デメリットとしてはポイントを管理する必要がでてくることです。

選択制退職金とは

前払い退職金として給与や賞与に加算するか、退職金で受け取るかを従業員個人の選択に委ねる制度です。

事務手続きの煩雑さが増すためあまり採用されませんが、採用する場合は原則として自己都合による退職の場合を前提として退職金を計算し、最終的に定年まで勤めた場合にその差額を支払うという制度になる場合が多いです。

退職金制度の導入の仕方

安定性と予見可能性の必要性から退職金規程を作成します。

これは法律上就業規則にあたります。

常時10名以上の労働者を使用する事務所では作成後に労働基準監督署届ける必要があります。

すでに届け出をしている場合は変更届が必要になります。

就業規則の作成変更についてはこちらの投稿を参考にしてください。

就業規則作成・変更業務(全国対応)

就業規則の変更についてのまとめ

規程の定め方

以下は様々な具体的規定方法を提案しています。

取捨選択してご利用ください。

  • 一定の勤続年数で上限を設ける
  • 一定の年齢以上は定年と同じ扱いとする
  • 自己都合退職の場合に差をつける
  • 中途退職の場合で差をつける
  • 功績を反映させる

退職金制度の廃止又は減額

退職金制度は定めると労働者の重大な労働条件になります。

これは廃止又は減額することは労働条件の不利益変更になります。

不利益変更は労働者の同意を得れば可能ですが、同意を得られない場合は合理的な理由がなければなりません。

合理性については判例がありますが、経営状態が悪化したことなどは合理的な理由に入ってきません。

その点を注意してできるだけ慎重に退職金制度を定めるようにしてください。

合理性についての判例について、詳しくは

就業規則の変更についてのまとめ

の投稿を参考にしてください。(最後の方の「不利益変更」の部分です)

退職金規程を作成せずに退職金を給付できるか

可能です。

ただし、支払った支払っていない、不公平だなどの争いのもとになるのですぐにでも作成したほうがいいでしょう。

退職金は全員に支払わなければならないか

一部のものに限定して支払うことも可能です。

一定の勤続年数や、一定の職種に限定して退職金を支給することはよくあります。

勤続年数の算定

勤続年数によって退職金を変動させる場合は、勤続年数の判断に

  • 長期療養
  • 育児休業
  • 介護休業

などの期間は算入しないという規定を設けておくといいでしょう。

もちろん算入しても構いません。

懲戒解雇の場合の除外

懲戒解雇の場合に退職金を付与しないということも可能です。

まったく付与しないというのではなく減額という定めをする場合も多いです。

退職後の調整

  • 虚偽告知に基づき退職金の算定が行われた場合
  • 退職後に競業避止義務に反した場合

これらの場合に退職金を減額するような規定を設ける場合があります。

これも有効です。

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社労士 さん
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