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派遣業許可のための就業規則作成又は変更
派遣業の許可をとるために就業規則に一定の記載があるか確認されます。
この場合、就業規則がないのであれば就業規則を作成するか、労働契約を締結します。
就業規則はあったとしても該当する規定がないのであれば、その規定を追加する修正を行わなければなりません。
このページでは、派遣事業の許可のための就業規則規定をまとめています。
なお、就業規則ではなく労働契約で規定することも可能ですが、この投稿では就業規則に絞ります。
当事務所の就業規則の作成及び変更
当事務所では、派遣事業の許可に伴う就業規則の作成及び変更を扱っています。
就業規則の作成は3万円(税別)から、
就業規則の修正は1万5,000円(税別)から行っています。
詳しくはこちらのページをご覧ください。
派遣事業の労働契約の作成は1万5,000円(税別)で行っています。
詳しくはこちらのページをご覧ください。
具体的規定内容
個人、法人の区別なく共通です。
キャリア形成支援
派遣労働者のキャリアの形成の支援に関する規程が必要になります。
「教育訓練の受講時間を労働時間として扱い、相当する賃金を支払う」(労働基準法第 89 条第1項第2号)という内容が入っていなければなりません。
例えば、次のような条項を定めます。
第○条 (教育訓練時の賃金)
会社は、第○章に定める教育訓練の受講時間を労働時間として扱い、相当する賃金を賃金規程の定めに従い支払う。
教育訓練の規程や賃金の規程と合わせて定めてもかまいません。
労働者派遣契約終了時の解雇
次の内容が含まれていなければなりません。
- 無期雇用派遣労働者を労働者派遣契約の終了のみを理由として解雇しないこと。
- 有期雇用派遣労働者について、労働者派遣契約終了時に労働契約が存続している派遣労働者については、労働者派遣契約の終了のみを理由として解雇しないこと。
例えば、次のような条項を定めます。
第○条(解雇)
会社は、無期雇用派遣労働者を労働者派遣契約の終了のみ又は有期雇用派遣労働者について、労働者派遣契約終了時に労働契約が存続している派遣労働者については、労働者派遣契約の終了のみを理由として従業員を解雇しない。
これについては通常他の解雇条項に関する規定があるでしょうからそこに追加する形でもかまいません。
一定の労働者に対する休業手当
労働契約期間内で使用者の責に帰すべき事由により休業させると労働法26条が適用されて手当を支払う必要があります。
そのことが明記されている規定が必要になります。
例えば、次のような条項を定めます。
第○条(休業手当)
会社は、無期雇用派遣労働者又は有期雇用派遣労働者であるが労働契約期間内に労働者派遣契約が終了した者について、次の派遣先を見つけられない等、会社の責に帰すべき事由により休業させた場合には、労働基準法第 26 条に基づく手当を支払う。
次の派遣先を見つけられない場合は会社側の責に帰すべき事由になりますのでご注意下さい。
派遣業でのトラブル対策
派遣契約の中途解除について
総則
派遣先と連携し、派遣先の関連会社での就業のあっせん、派遣元で他の派遣先を確保して、派遣労働者に新たな就業機会の確保を図る。(従来と同等以上の条件の就業先を紹介することが求められた裁判例あり、エキスパートスタッフ事件(東京地裁 平成 9 年 11 月 11 日判決))
できない場合は、まず休業手当を支払い休業させる。(平均賃金の 6 割以上の休業手当を支払うことが必要、労働基準法第 26 条)
それもできない場合は解雇予告、解雇予告手当の支払い等を行い解雇します。(30 日以上前に予告又は平均賃金の 30 日分以上の解雇予告手当を支払う、労働基準法第 20 条)
就業規則等での対応
派遣先からの一方的な契約解除に対して派遣労働者の雇用の安定を図るために必要な措置を労働者派遣契約に記載しなければならない。
派遣労働者に対する就業条件明示書でも、「派遣契約解除の場合の措置」を明らかにしなければならない。
就業規則に記載しておくことも望まれる。
記載例(参考サイトより転載)
就業条件明示書
派遣元事業主は、労働者派遣契約の契約期間が満了する前に派遣スタッフの責に帰すべき事由以外の事由によって労働者派遣契約の解除が行われた場合には、当該労働者派遣契約に係る派遣先と連携して、当該派遣先からその関連会社での就業のあっせんを受けること、当該派遣元事業主において他の派遣先を確保すること等により、当該労働者派遣契約に係る派遣スタッフの新たな就業機会の確保を図ることとする。
また、当該派遣元事業主は、当該労働者派遣契約の解除に当たって、新たな就業機会の確保ができない場合は、まず休業等を行い、当該派遣労働者の雇用の維持を図るようにするととともに、休業手当の支払い等の労働基準法等に基づく責任を果たすこととする。
さらに、やむを得ない事由によりこれができない場合において、当該派遣スタッフを解雇しようとするときであっても、当該派遣スタッフに対して少なくとも 30 日前に予告することとし、30 日前に予告しないときは労働基準法第 20 条第 1 項に基づく解雇予告手当を支払うこと、休業させる場合には労働基準法第26 条に基づき平均賃金の 6 割の休業手当を支払うこと等、雇用主に係る労働基準法等に基づく責任を果たすことはもとより、労働契約法の規定を遵守することとする。
就業規則
第2章 人事(派遣期間終了前における派遣の中止)
第○条 派遣スタッフが、当初に明示された派遣期間の満了前に、派遣先における業務処理が終了した場合、又は派遣先のやむをえない事由により、派遣先から業務処理の終了の申し入れがあった場合には、会社は、派遣期間が終了したものとみなして、その派遣先への派遣スタッフの派遣を中止する。この場合においては、会社は速やかにスタッフを別の派遣先に派遣するように努力する。
2 前項の場合において、新たな就業機会の確保ができないときは、会社は、まず休業等を行い、当該派遣スタッフの雇用の維持を図るようにするとともに、休業手当の支払い等の労働基準法等に基づく責任を果たすこととする。なお、やむを得ない事由により当該派遣スタッフを解雇しようとするときであっても、少なくとも 30 日前に予告することとし、30 日前に予告しないときは労働基準法第 20 条第 1 項に基づく解雇予告手当を支払うこと等、雇用主に係る労働基準法等の責任を負うことはもとより、労働契約法の規定を遵守することとする。
(自宅待機による休業)
第○条 会社は、労働者派遣契約の契約期間が満了する前に、労働者派遣契約が解除された派遣スタッフに対し、一定期間の継続又は断続した自宅待機による休業を命ずることがある。
2 前条の休業期間は、その都度会社が定める。
3 休業期間中の取扱いは次の通りとする。
1)休業期間中は労働基準法に定める休業手当を支給する
2)休業期間中であっても派遣スタッフの身分を有する
(就業場所の変更)
第○条 会社は業務の都合により、雇い入れ時に示した派遣先又は派遣先における就業場所(以下、就業場所という。)を変更することがある。
2 会社は前項により、就業場所の変更を行う場合は、派遣スタッフの不利益にならないよう次の労働条件を確保するものとする。
1)通勤時間が増加する場合でも、現就業場所から 60 分の増加が限度であること
2)所定就業時間は、現就業時間の概ね 10%以内の増減であること
3)対象業務が、派遣スタッフにおいて登録している職種又は現就業職種であること
4)時間給は、現就業条件に定める時間単価の 100%が補償されるものであること
契約更新について
総則
有期労働契約であれば、契約時に更新の有無の明示が必要。
更新する場合があると明示したときは、契約を更新する場合又はしない場合の判断の基準を明示しなければならない。(労働基準法施行規則第5条第1項第1号の2)
3 回以上契約を更新している又は働き始めて1年を超えている派遣労働者の契約を更新しない場合、契約期間の満了する日の 30 日以上前までに契約を更新しない旨の予告をしなければならない(「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」第 1 条)
就業規則等の対応
労働条件通知書はもちろん、就業規則にも自動更新でないことを明記、更新の有無、更新基準を明記しておく。
記載例(参考サイトより転載)
(雇用期間)
第○条 派遣スタッフの雇用期間は、原則として1年を超えないものとし、採用の都度会社が定める。
2 会社は、業務の必要に応じて、所定の雇用期間終了後、再契約をすることがある。
3 更新の有無及び更新することがある場合の更新の基準については、個別に労働契約書において定める。
(雇用期間)
第○条 派遣スタッフの雇用契約の期間は、原則として1年を超えないものとし、雇用契約により定める。
2 前項の雇用契約の期間は、会社が次の基準に基づき必要と判断した場合に、派遣スタッフに事前に通知し、派遣スタッフの同意を得た上で更新することがあるが、自動更新はしない。
1)派遣先との契約更新の有無
2)派遣業務の内容又は契約の条件変更の有無
3)契約期間中の勤務成績、態度又は勤怠状況
4)業務遂行能力、又は業務効率性
5)派遣業務の進捗状況
6)派遣業務量の変更の有無
7)派遣人員数の変更の有無
8)会社及び派遣先が徴求する勤怠その他各種帳票類の提出状況
9)本規則を含む会社規定の遵守状況
10)その他上記各号に準じる状況の有無
3 派遣スタッフと会社との雇用契約は期間の定めのある契約であり、前項の会社からの通知が派遣スタッフに行われない限り、派遣スタッフと会社との雇用契約(更新した場合は更新後の雇用契約)の期間が終了した日をもって、派遣スタッフと会社との間の雇用関係は期間満了により終了する。ただし、期間の定めのある契約を 3 回以上更新した又は雇い入れからの期間が1年を超えた派遣スタッフについて、期間満了により雇用契約を終了させる場合は、終了させる 30 日以上前に契約を更新しない旨の予告を行う。
参考サイト
就業規則作成・変更に関連する投稿記事
就業規則に関連する基礎知識などについては以下の様な投稿記事を作成しています。
- 育児介護休業法の平成28年3月改正、平成29年1月1日施行について
- 1年間の変形労働時間制と労使協定(及び就業規則)
- 65歳超雇用推進助成金
- 農業の場合の就業規則
- 派遣業許可と就業規則
- 助成金と就業規則
- 就業規則の変更についてのまとめ
- 就業規則作成は育児介護休業に関する規則も含みますか?
- マイナンバー制度と契約書・就業規則
- 就業規則作成のメリット・デメリット
- 就業規則と育児介護休業規則の関係は?届出は?
- 就業規則各規定項目解説1
- 就業規則各規定項目解説2
- 就業規則各規定項目解説3
- パートさんにも就業規則は必要?
- 支店や複数店舗の就業規則は?
- 就業規則を作成した後は?
- 就業規則に記載する内容は?
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