OEM(ODM)契約書に記載される一般的事項を項目ごとに解説します。
この投稿の目次です
1 製作の委託
委託者、受託者の委託内容を記載します。
製作内容が具体的に決まっている場合は細く特定しますが、分量が多くなる場合や細部まで決まっていないような場合は別に定める仕様書により定めるというように規定してしまってもいいです。
2 売買、供給の委託
製作物を売買することも盛り込みます。
供給を委託するという関係にあると捉えて製作の委託と同じ条文に盛り込んでしまってもいいでしょう。
ここで最低供給量や購入量を定めておく場合も多く見られます。
注文書により注文販売を行うというようにしておいて明確には決めない場合も見られます。
3 業務報告の定め
契約の性質が委任ですので善管注意義務があり、その一環として報告義務を定める場合が多く見られます。
一歩進んで委託者側に調査権まで定める場合も見られます。
4 支払いに関する定め
売買の代金について定めることに目が行きがちですが、製作(デザイン)の部分に報酬が発生するのかについてきちんと断りをいれておくべきです。
報酬が発生するのであれば報酬額を定め、発生しないのであれば製作(デザイン)については報酬は発生しない、売買代金のみとするというように記載されるといいでしょう。
さらに細かく、製作(デザイン)のみを行った後に委託者が契約書を解除したばあいなどの報酬額を決めておいてもいいかと思います。
支払い方法、支払期限などについての規定は一般的なものと変わらない場合が多いです。
5 権利譲渡、再委託禁止
契約書に一般的に盛り込まれる事項ですが、委託者のブランド力が強くなれば秘密保持の観点からも再委託禁止は必須になるかもしれません。
6 意匠、商標の帰属
OEM,ODMどちらもブランド力が前提になりますので、製作物の意匠、商標について帰属を明らかにしておくといいかと思います。
多くの場合は委託者に帰属することになるでしょう。
7 保証
意匠、商標などとも関係しますが、委託者が今回の契約を行うにおいて第三者の権利侵害がないことを保証しておく規定を設ける場合が多く見られます。
8 反社会勢力排除規定
警察庁が促進しているものです。
こちらがモデル文です。
(反社会的勢力の排除)
第○条 甲及び乙は、それぞれ相手方に対し、次の各号の事項を確約します。
① 自らが、暴力団、暴力団関係企業、総会屋若しくはこれらに準ずる者又はその構成員(以下総称して「反社会的勢力」という)ではないこと。
② 自らの役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいう)が反社会的勢力ではないこと。
③ 反社会的勢力に自己の名義を利用させ、この媒介契約を締結するものでないこと。
④ この媒介契約の有効期間内に、自ら又は第三者を利用して、次の行為をしないこと。
ア 相手方に対する脅迫的な言動又は暴力を用いる行為
イ 偽計又は威力を用いて相手方の業務を妨害し、又は信用を毀損する行為
2 甲又は乙の一方について、この媒介契約の有効期間内に、次のいずれかに該当した場合には、その相手方は、何らの催告を要せずして、この媒介契約を解除することができます。
ア 前項①又は②の確約に反する申告をしたことが判明した場合
イ 前項③の確約に反し契約をしたことが判明した場合
ウ 前項④の確約に反する行為をした場合
3 乙が前項の規定によりこの媒介契約を解除したときは、乙は、甲に対して、約定報酬額に相当する金額(既に約定報酬の一部を受領している場合は、その額を除いた額。なお、この媒介に係る消費税額及び地方消費税額の合計額に相当する額を除きます。)を違約金として請求することができます。
9 秘密保持
多くの場合に盛り込まれます。
契約内容はもちろんですが、契約の存在自体についても秘密とするという規定にするといいかと思います。
企業間の契約になりますので従業員に対する遵守義務までうたうものが多いです。
10 損害賠償、解除規定
多くの場合に用いられる一般的なものでも構いませんが、賠償額の上限を規定してしまう例も多く見られます。
11 瑕疵担保責任規定
損害賠償に関係しますが、売買の側面がありますので瑕疵担保責任についての規定を置きます。
責任を限定する方向で規定する場合が多いです。
ここに関連して当然のことなのですが、製品を販売した場合の顧客との関係は委託者のみが責任をもつということを確認的に記載する場合も多く見られます。
12 裁判管轄
契約に問題が生じた場合の規定です。
専属的合意管轄という言葉で規定します。
地方裁判所のみを特定するものが多いですが、簡易裁判所まで限定するものも最近よく見られます。
正確なものとしては後者でしょうか。
最後に
一般的なものとしては以上です。
出来るだけお互いに誤解の無いよう分かりやすい契約書を作成してください。
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