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特徴(メリットといいうるもの)
契約期間が終われば終了
契約で定めた期間が満了することにより、更新されることなく、確定的に賃貸借が終了します。
従来のように、「正当事由」がある場合でなければ、賃貸人(貸主)から契約の更新拒絶や解約の申し入れができないということにはなりません。
そもそも更新は予定されていません。 契約終了後に賃借人(借主)が居住し続け、賃貸人がこれに異議を述べないような場合でも更新が擬制されることはありません。
契約関係は確定的に終了します。
契約期間は自由
1年未満でも20年以上でもかまいません。
民法の20年を上限とする規定の制約を受けません。
「1年未満の建物賃貸借を期間の定めのないものとみなす」とする借地借家法第29条の規定は適用されません。
家賃増減請求を否定して固定化できる
特約を定めておくことで、法律上認められている家賃増減請求権の適用を否定できます。
これにより家賃は経済の変動があっても一定と定めることができます。
返却予定の敷金、保証金は今まで通りで
賃貸借契約時の担保の性質があり、この点は従来型と定期賃借権とで変わりありません。
特徴(デメリットといいうるもの)
一定の契約期間を定めなければならない
「2年間」など特定できる期間でなければなりません。
「賃借人が死亡するまで」等の不確定な期限を定めることはできません。
公正証書による等書面が必要
借地借家法第38条第1項は、「公正証書による等書面によって契約する」ときに限って、定期借家を認めるとしています。
ただし、公正証書による「等」書面と記載されているからも分かる通り、公正証書はあくまで例示です。 必ず公正証書を用いなければならないわけではありません。
通常の契約書でも書面なので要件をみたします。
更新は不可
期間満了前に、引き続きその建物を使用することについて当事者双方が合意していたとしても、再契約が必要です。
更新はそもそも認められていません。
再契約すれば、引き続きその建物を使用することは可能です。
再契約が定期借家でも何の問題もありません。
契約の前に書面交付が必要
賃借人が十分に保護される従来型とは異なるので、定期借家契約をしようとするときは、賃貸人は、あらかじめ、賃借人に対し、
- 定期借家では契約が更新されないこと
- 期間の満了により賃貸借が終了すること
を記載した書面を交付して説明しなければなりません。
説明をしないと、定期借家契約にはなりません。
従来型の普通借家契約と扱われることになります。
通知が必要な場合も
契約期間が1年以上の場合は、貸主は期間満了の1年前から6か月前までの間に、借り主に契約が終了することを通知する必要があります。
通知をしなくても、その後に通知すれば、通知した日から6カ月経過後に、賃借人に対して、契約が終了したことを主張することができます。
期間が一年未満である定期借家の場合には、この賃貸人による通知は必要ありません。
期間が満了すれば当然に契約が終了します。
借主側からの解約が認められる場合も一応ある
借地借家法第38条第5項では、借主にやむを得ない事情(転勤、療養、親族の介護など)が発生し、その住宅に住み続けることが困難となった場合には、借主から解約の申し入れができることとなっています。
ただし、この解約ができるのは床面積が200平方メートル未満の住宅に居住している借主のみです。
この解約の申し入れがされると、1月経過すれば契約が終了します。
途中解約の特約を定めておけば当然解約は認められます。
礼金、権利金は認められなくなるかも
礼金、権利金は、従来型の借家契約がもつ不確実性を担保する意味合いから、慣行となった金銭で返さなくてもいいという内容でした。
しかし、定期借家契約になると不確実性は解消されますので、認められない可能性もあります。
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