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賃金支払いの原則
労働基準法第24条の規定があり、
- 通貨で、
- 直接労働者に、
- 全額を、
- 毎月1回以上、
- 一定の期日を定めて
支払わなければならないと規定されています(賃金支払の五原則)。
給料の一部を現物支給は可能?
原則は現物支給は認められていません。
ただし、労働協約等によって別段の定めがあれば現物支給が認められる場合もあります。
労働協約等の定めがあるか確認しましょう。
給料を銀行振込ではなく現金手渡しにしてもらえる?
労働基準法第24条で賃金の支払については、原則として通貨(現金)で労働者本人に直接手渡さなければならないと定められています。
銀行振込は、それに同意した労働者に対してのみすることができるにとどまります。
そのため、銀行振込を強制することはできず、現金手渡しを要求すれば認められます。
一方的な給料引き下げは適法?
給料の引き下げが即座に労働基準法違反になる訳ではありません。
しかし、労働条件通知書や就業規則に明記してある給料の額よりも実際に支払われる給料の額が少ない場合は、労働基準法第24条違反(給料の一部不払い)となる可能性があります。
就業規則の変更が適法にされているかなどを検討する余地があります。
給料の前借りは可能?
労働基準法第25条には非常時(出産、結婚、病気、災害等)について、給料日前でも給料を払うように定めています。
しかし、この条文で定めているのは、既に行った労働に対して給料日前でも支払うように定めているのであって、これから行う予定の労働に対して給料を払うように求めているものではありません。
従って、前借りに応じる義務はありません。
そもそもサービス残業って適法?
賃金不払い残業にあたるので違法です。
賃金不払残業とは、所定労働時間外に労働時間の一部又は全部に対して所定の賃金又は割増賃金を支払うことなく労働を行わせることを言います。
これは本来労働基準法に違反する、あってはならないものです。
なお、法定時間外労働に対する割増賃金の支払は労働基準法第37条で決められています。
給料体系が年俸の場合は残業代はない?
年俸制を導入した場合でも、実際の労働時間が一週又は一日の労働時間の法定労働時間を超えれば、時間外手当を支払わなければなりません。
割増賃金とは?
労働者に時間外労働、深夜労働(原則として午後10時~午前5時)、または休日労働をさせる場合には、会社は割増賃金を支払う必要があるというものです。
規定は
- 法定の労働時間を超えて労働させる場合、深夜労働させる場合:2割5分以上
- 法定の休日に労働をさせる場合:3割5分以上
という定めがあります。
なお、平成22年4月1日から、大企業において1ヶ月に60時間を超える時間外労働を行う場合の割増賃金率が5割に引き上げられました。
割増賃金を計算する際の基礎となる賃金は何?
割増賃金の計算の基礎となる賃金は、原則として通常の労働時間または労働日の賃金のことです。
所定内労働時間内に働いた場合に支払われる賃金と同義です。
ただし、
- 家族手当
- 通勤手当
- 別居手当
- 子女教育手当
- 住宅手当
- 臨時に支払われた賃金
- 1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金
については、割増賃金の計算の基礎となる賃金からは除外されます。
18時から23時まで働きました。割増賃金は?
労働基準法第37条第4項には、「使用者が、午後10時から午前5時までの間において労働させた場合においては、その時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の2割5分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。」と規定されています。
この割増率は深夜時間に労働させることに対して付加されるものです。
そのため、通常日の場合は、「法定時間外労働に対する2割5分以上 + 深夜労働に対する2割5分以上=5割以上」の割増率で割増賃金を支払わなければなりません。
休日だった場合は、 「法定休日労働に対する3割5分以上 + 深夜労働に対する2割5分以上 =6割以上」の割増率で割増賃金を支払わなければなりません。
会社の都合で仕事が休みの場合賃金は?
働いていないのでは賃金はありません。
ただ、使用者の責に帰すべき事由による休業の場合、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければなりません。
使用者の責に帰すべき事由とは、地震や災害などの不可抗力による場合を除き、資材が集まらなかったために作業が出来なかった場合や、機械の故障により休業せざるをえなかった場合など、会社都合によるものをいいます。
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